テイク採用研究所採用ノウハウ

新人を教える人が疲れ切る前に。指導担当の仕事と時間を組み直す方法

新人が毎日出勤し、仕事も少しずつ覚えている。それでも、教える先輩だけが片付けや確認を終えられずに残っているなら、受け入れの計画を見直す必要があります。「面倒見がよい人に任せる」だけでは、その人の通常業務と教える仕事が重なってしまいます。

『現場の採用』第8章と付録8をもとに、指導役の仕事を調べ、移す・減らす・確認の時点を変える手順を整理します。90日全体の育成計画ではなく、明日の予定から負担を調整する記事です。登場する会社・人名・時間は、記入方法を示す架空の例です。

1. 「新人はどう?」から、指導役の一日へ質問を変える

「よく頑張っています」という返事は、新人の様子を表していても、教える人の余裕までは表していません。新人を悪く言いたくなくて、自分の負担を話さないこともあります。責任者は評価の話と仕事量の話を分け、「教えるために増えた仕事は何ですか」と聞くところから始めます。

聞くこと確かめたい事実
昨日、説明以外に何をしましたか材料の準備、途中確認、記録、後からの修正
それは、いつ行いましたか予定内にできたか、通常業務や終業後へ押し出されたか
元の仕事はどうなりましたか未完了、他の人への移動、納期への影響
途中で何が入りましたか電話、別工程の相談、急な依頼などの割り込み

聞き取りは、一日を思い出せる直近の勤務から始めます。全員へ細かい計測を求めるより、困っていた場面の前後を時刻と作業名で並べる方が、最初の調整につながります。記録がない部分は推測で埋めず、次の勤務で確認する項目にします。

「段取りをよくすれば終わるはず」と先に結論を置くと、指導役は困りごとを隠しやすくなります。仕事の量、確認に必要な技能、割り込みの多さを一緒に見て、責任者が変えられる条件を探してください。面談そのものも勤務の予定に入れます。

2. 教える仕事を五つに分け、時間の重なりを見つける

教育に使う時間を「説明30分」だけで計画すると、その前後が抜けます。説明用の見本をそろえる、理解を確かめる、迷った箇所を一緒に直す、次の担当へ残す。これらも指導の仕事です。一方、普段から必要な検査まで全て教育時間へ付け替えると、原因を読み違えます。

区分製造現場での記録例
準備説明用の材料と手順書をそろえた
説明・実演指示書と部品を照らす順番を示した
理解の確認本人がどこを確かめたか、一緒に確認した
再説明・手直し表示の読み違いをその場で説明し直した
共有翌日の担当へ、継続して確認する箇所を残した

各行に「予定した時間/実際に行った時間/同時に予定されていた通常業務/後回しになったこと」を添えます。時間の長さだけでなく、確認すべき時点に対応できたかが重要です。終業後に10分で直せたとしても、新人が何を誤解したかを学ぶ機会が失われている場合があります。

一度の記録を標準時間にしないようにします。初めて教える日、復習の日、繁忙日では違います。「この人は教えるのが遅い」と比べる資料ではなく、予定の衝突を見つける資料として、指導役にも使う目的を説明します。

架空の記録例として、説明20分、途中確認15分、再説明10分を見込むなら、合計は45分です。予定に説明の20分しか入っていなければ、残り25分をどこかで補うことになります。ただし、この時間は標準ではありません。自社の作業で実際に要した時間と、必要な確認の時点を記録して置き換えます。

3. 減らす仕事を先に決め、移せない確認は残す

必要な時間が見えたら、責任者が通常業務を分類します。「教える時間を確保してください」だけでは、仕事をどうする権限も本人へ押しつけることになります。納期、品質、安全、取引先への対応を考え、誰が変更を決めるかを明確にします。

扱い決める内容
他の人へ移す準備や窓口業務など、担当変更できるものと引き受ける人
時刻を変える前後へ移しても支障がない作業と、移動先の時間
範囲・量を調整する新人に教える範囲、当日の配分、責任者が相談する納期
指導役に残す必要な技能・権限を持つ人が行う確認と、その時間

移管するなら、引き受ける人の予定も確認します。別の人へ同じ負担を移しただけでは、会社全体の問題は解決しません。例えば電話窓口を事務担当へ移す場合、答えてよい内容、現場へ戻す判断、急ぐ用件の扱いまで伝えます。「電話を取る人」と「回答を決める人」が同じとは限りません。

安全や品質に関する判断を、人が空いているという理由だけで移さないでください。適切な担当を確保できなければ、作業や教育の範囲を組み直します。必要な確認を省いて予定表の空欄だけを作っても、教えられる体制にはなりません。

移管の打ち合わせでは、仕事の名前だけでなく、受け渡す資料と締切も決めます。「出荷準備をお願い」では広すぎるなら、必要な帳票をそろえる、資材を決めた場所へ運ぶなど、引き受ける人が実施できる範囲へ分けます。最終確認を誰が行うかは別に残し、移管後に抜けが出ていないかも確かめます。

4. 検討例:確認が夕方へ集まる一日を組み直す

架空の部品工場で、指導役の佐藤さんが、新人への確認を夕方にまとめていたとします。午前は説明、午後は取引先の問い合わせに対応し、最後に新人の記録を見直しています。問題は、確認する力がないことではなく、確認したい時点に別の仕事が重なっていることです。

見直す箇所変更案成立の条件
午後の問い合わせ責任者が一次窓口を引き受ける責任者の予定と回答権限を確認する
新人へ任せる範囲当日は一つの照合作業へ絞る後工程と当日の作業量を調整する
確認のタイミング次へ進む前の区切りで佐藤が見るその時間に佐藤を別の仕事へ呼ばない
終業前の記録迷った点と翌日の確認を短く共有片付けも含め勤務予定内で行う

この変更で残業が必ずなくなるとは言えません。問い合わせの件数が想定より多い、責任者にも急用が入る、新人が別の箇所で迷うこともあります。翌日は「予定どおり確認できたか」「誰の未完了が残ったか」を見て、条件を再調整します。

新人には「先輩が大変だから質問を減らして」と伝えません。「ここまで進んだら一緒に確認します。違いや迷いがあれば、その時点で止めて知らせてください」と新しい進め方を説明します。確認の時間を設けることと、必要な相談を随時受けることは両立させます。

5. 指導役が交代する日は、作業ごとの状態を渡す

二人で教えれば負担が半分になるとは限りません。前日に何を説明したか分からず、同じ説明を繰り返したり、まだ確認していない作業を任せたりすると、かえって手戻りが増えます。引き継ぐ単位を「新人一人」ではなく「作業ごとの確認状態」にします。

「説明した」と「本人が理解して行えた」を分け、確認した人と日付を残します。一人で行ってよい範囲には、対象物や条件も必要です。ある品番で確かめたことを、違う製品や設備にも自動で広げないようにします。

新しい担当者が前の説明と違う方法を使う場合は、新人に選ばせず、担当者同士で正式な手順をそろえます。違いが安全・品質に関わるなら、その場の都合で進めません。引き継ぎの書類を長くするより、次に判断する人が必要な箇所を読める形にします。

6. 代理担当と確認の時間が、実際に使えるか試す

予定表に代理の名前があっても、その人が別の現場に出ていれば支援は使えません。指導役が席を外す時間、会議や配送などで返事ができない時間を重ね、相談が来たときにどこへつながるかを確認します。名前を置くことと、対応可能な状態を作ることを分けて考えます。

例えば確認の区切りに代理が対応できない日は、確認前に進めてよい作業があるかを正式な手順に沿って決めます。なければ待つ場所と連絡先を示し、未確認の作業を自主判断で進めることを期待しません。「手が空いているなら何かやって」という曖昧な指示を避けます。

当日の問い対応を決める人
予定した担当が不在になったら責任者が代理と作業範囲を調整
確認が予定より長くなったら指導役が状況を共有し、責任者が通常業務を再配分
交代が遅れて休憩に影響したら現場の調整担当が交代と勤務の運用を確認
別の担当にも仕事が偏ったら各担当の未完了を集め、会社側で計画を修正

教える人が休めずに新人だけが休めている場合も、計画を見直す対象です。仕事量や勤務時間の問題を、本人同士の気遣いだけで処理しません。短い振り返りでも、通常業務・教育・休憩が実際にどうなったかを分けて確認します。

7. 新人の成長と、指導役の負担を別々に評価する

新人ができることを増やしても、指導役の負担が減らないことがあります。新人の作業範囲が広がった分、確認する種類が増えた可能性もあります。在籍や習熟だけを見て「もう教える時間はいらない」と判断せず、実際に増減した仕事を確かめます。

新人には「どこで確認を受けたか」「相談先が分からなかった場面はあったか」を聞き、指導役には「どの仕事が予定外に残ったか」「説明に必要な材料は足りたか」を別に聞きます。互いの前で言いにくいこともあるため、片方の返事だけで両方の状況を決めないことが大切です。

記録する事実次の判断
途中確認が予定どおり行えた同じ条件で続けられるかを見る
確認が夕方へ戻った割り込みか、作業量か、担当不在かを特定
別の担当に未完了が増えた移管先を含めて配分を再検討
説明の食い違いが出た担当者間で手順と申し送りを修正

「教えてくれて助かった」という感謝に加えて、教育に必要な時間を仕事として扱います。従来の生産量だけで指導役を比べると、丁寧に確認するほど不利になるおそれがあります。どの役割を担っているかを責任者が把握し、評価の前提もそろえます。

8. 一週間で、一つの重なりを解消するところから始める

大きな教育制度を先に作る必要はありません。まず一人の指導役と直近の勤務を振り返り、教える仕事と通常業務がぶつかっている場面を一つ選びます。解消するために何を移し、誰が引き受け、いつ確かめるかを書きます。

初回の見直しでは、教育の時間が確保できたことだけで合格にせず、移された仕事の行き先を確認します。引き受けた人が後で取り戻していた、新人が質問を我慢していた、必要な確認を減らしていたなら、負担が見えなくなっただけです。

記録を残す目的は、教育担当を監視することではありません。会社が次の受け入れを計画するとき、何人へどの範囲まで教えられるかを判断するためです。実際に成立した条件と、うまくいかなかった条件を残せば、次の採用人数や入社日の相談にも使えます。

調整メモの確認日を過ぎても状況が不明なら、成功と扱わず、まず実施できたかを聞きます。実行されなかった理由が担当者の予定変更なら、次の担当と時刻を決め直します。試した結果と、試せなかった状態を分けると、同じ案を効果がないとして捨てずに済みます。

参考:テイク採用研究所『現場の採用は、「誰でもいい」では誰も来ない』制作原稿 第8章・付録8をもとに、記事として再構成しています。

この記事をお届けするのは

テイク採用研究所

建設・製造・物流など、現場の採用を支援。求人原稿・採用ページ・SNSの整備から、募集後の振り返りまで、御社の状況に合わせて伴走します。

テイク採用研究所について 運営:salus manager株式会社
← 採用ノウハウの記事一覧へ

御社の採用に、活かすために。

伝えたい魅力を、
応募につながる求人へ。

求人の見直しから、募集後の改善まで。
テイク採用研究所が、御社の採用を支えます。