テイク採用研究所採用ノウハウ

新人の「大丈夫です」で終わらせない。困りごとを改善につなぐ面談の進め方

「仕事には慣れましたか」「大丈夫です」。短い会話はできていても、どの場面で手が止まり、何を助けてほしいかまでは分からないことがあります。返事が前向きだからといって、仕事や教え方の行き違いがないとは限りません。

『現場の採用』第8章の、本人と教える側の困りごとを確かめる考え方をもとに、入社後の面談を準備から再確認まで具体化します。90日間の育成計画全体ではなく、一回の会話を実際の対応へつなぐ手順が中心です。会話・記録・ケースは説明用の架空例です。

1. 話す目的と、面談後にできることを先に伝える

面談の目的が分からないと、新人は「できていないと言うと評価が下がるのでは」と考えるかもしれません。最初に、仕事の進め方や説明の不足を確かめ、必要な支援を決める時間だと伝えます。人事評価の話もするなら、どこからその話題へ移るのかを分けます。

場所と時間も準備の一部です。作業の途中で周りに聞こえる形のまま尋ねると、本人が話せる範囲は限られます。業務の予定を調整して話せる時間を作り、同席する人がいる場合はその役割を説明します。忙しさで何度も中止するなら、予定の組み方から見直します。

面談前に決めること確認する内容
今回の目的日々の困りごと、説明とのずれ、次の支援など
聞く人話を受け止め、確認先へつなげられる人
参考にするもの前回決めた対応、担当する作業、入社前の説明
共有の扱い何のために、どの担当へ伝える必要があるか
次の時間その場で答えられないことを、いつ本人へ返すか

「何でも秘密にします」と約束してから、あとで勝手に広く共有する形は避けます。対応には別の担当の協力が必要な場合があること、必要な範囲を相談しながら扱うことを、分かる言葉で伝えます。共有先を増やす前に、何の対応に必要かを考えます。

2. 最近の一場面を、時間の流れに沿って聞く

「何か困っていますか」は広い問いです。新人が何を相談してよいか迷っているときは、「昨日の準備で、確認に時間がかかったところはありましたか」など、覚えている場面を入口にします。困りごとがあると決めつけず、進めやすかった場面も同じように聞きます。

聞く順番問いかけの例
場面を選ぶ最近、一人で進めるか迷った仕事はありましたか
前後を確かめるその直前に、どんな説明や指示がありましたか
本人の判断を聞く何を見て、そのように進めようと思いましたか
必要だった支援を聞くそのとき、何が分かると次へ進めそうでしたか
理解を返す確認する相手より、確認するタイミングが分からなかった、という理解で合っていますか

本人が話していない理由を、質問の中へ入れないようにします。「先輩が怖くて聞けなかったのですか」と先回りすると、実際は確認の基準が分からなかっただけでも、別の説明へ誘導してしまいます。話の順番を急がず、分かった範囲を言い直して確かめます。

面談する人が現場をよく知っていても、本人が見た順序は確認します。仕事全体を知る人には当たり前の前提が、初めての人には伝わっていないことがあるためです。同じ場面を二人が別の意味で理解していないかを、会話の途中でそろえます。

3. 答えが出ないときは、質問を細かくする

「特にありません」と返ったとき、何か不満を言うまで質問し続ける必要はありません。「今は思い当たらなくても、後で話してよい」と伝え、相談できる相手と方法を確認します。そのうえで、会社側から確認したい具体的な場面があれば、観察した事実を説明して尋ねます。

例えば「準備の途中で資料を探していたように見えました。何を確認していましたか」と聞きます。「仕事が遅かったね」と評価を先に付けると、困った場面を話すより弁明する会話になりやすくなります。行動から原因を断定せず、本人の説明を聞きます。

求人原稿の書き方の例

見直す前

「何でも聞いてと言いましたよね。どうして聞かなかったのですか。」

具体的にすると

「どの作業を続けてよいか迷ったのですね。止まったところを一緒に見ながら、確認するタイミングをそろえましょう。」

説明用の会話例です。実際に何が起きたかを確かめたうえで使い、本人の言葉にない原因を決めつけません。

紙へ書いた方が話しやすい人や、その場では整理できない人もいます。口頭で全部答えることを条件にせず、仕事の資料を見ながら確認したり、必要な続きの時間を設けたりします。言葉にする速さを、仕事への意欲と同じものとして扱わないようにします。

毎回「あとで」と返して終わると、連絡方法を用意しても使えません。今は聞けないときには、いつ、誰が話を受けるかを具体的に伝えます。予定した確認以外でも、判断に迷うことや危険は、その場で相談できる運用が前提です。

4. 本人の言葉と、会社の見立てを分けて整理する

面談メモには、出来事と原因の判断を別々に残します。「質問ができない人」とまとめるより、「どの状態なら確認が必要か分からなかったと話した」と記す方が、教え方や確認条件を見直す材料になります。性格のラベルでは、次の対応が決まりません。

分けて書く欄記入例
本人が話したこと準備は任されたと思ったが、順番を変えると確認を求められた
会社が確認した事実作業を行う範囲は伝えたが、順番を変えてよい範囲は説明していなかった
現時点の見立て「任せる」の意味がそろっていなかった可能性
まだ確認すること現場担当が、どこまで自分で決めてよいと考えているか

この表は架空の記入例です。本人の話と会社の説明が異なる場合も、その場でどちらかを否定して結論にせず、確認する内容を残します。実際の資料や担当者の説明を調べ、必要な範囲で本人へ戻します。

困りごとをすべて本人の理解の問題にすることも、会社の説明だけの問題にすることも避けます。資料が古い、指示の順番が変わる、確認先が不在になる、作業量が多いなど、調べられる候補へ分けます。複数の要因があるなら、一つに決めつけず優先して確認するものを選びます。

5. 「様子を見ます」を、担当と確認する内容へ変える

話を聞いたあと、「慣れれば大丈夫」と励ますだけでは、困った場面は変わりません。その場でできる説明、現場へ確認すること、仕事の予定を調整することを分け、誰が動くかを決めます。本人にできる工夫だけを並べず、会社が行うことも同じ表へ残します。

対応の区分具体化する内容
説明をそろえる何を一人で行い、何を事前に確認するかを担当者と整理する
道具や資料を直す必要な手順が探せる場所を決め、使ってみて確かめる
運用を調整する区切りの確認時間と、担当不在時の相談先を決める
調査して回答する未確認事項、確認者、本人へ返す予定を残す

「先輩が毎回確認する」と決めるなら、先輩がその時間に対応できるかも確かめます。新人との面談で善意の約束を増やし、指導役にだけ仕事を積み上げないようにします。現場の調整が必要な案は、案として持ち帰り、決まった内容をあとで返します。

安全や体調、ハラスメントなどに関する相談は、通常の育成の工夫だけで処理する話ではありません。必要な担当や相談先へつなぎ、本人に次の面談まで我慢するよう求めません。面談する人がその場で専門的な判断を完結させようとしないことも大切です。

一度に多くを変えられない場合は、先に取り組むことと、まだ残ることを本人と確認します。対応できないことがあるなら、その理由と次の確認を伝えます。「検討します」という言葉だけで長く預かった状態にせず、判断の予定も対応の一部にします。

6. 検討例:「任せる」の行き違いを、具体的な説明へ戻す

以下は説明用の架空例です。製造現場で準備作業を覚えた新人に、担当者が「明日からここは任せる」と伝えました。新人は作業の順番も自分で選べると思いましたが、順番を変えたところで止められます。面談では「任されているのか、まだ確認が必要なのか分からない」と話しました。

聞き手は、すぐに「まだ新人だから」と説得せず、本人が変えた順番と、その前に受けた説明を確認します。現場担当にも確かめると、担当者が任せたつもりだったのは、決まった順番で準備を実施する部分でした。この例では、作業することと順番を判断することが分かれていなかったと整理します。

会話の段階返し方の例
理解を返す作業だけでなく順番も任されたと受け取った、ということですね
未確認を示すどこまで変更できるか、担当者と整理してからお伝えします
対応を決める自分で進める範囲と、先に確認する場面を、実際の準備で説明します
次に見ること次の準備で、確認する場面と相談先が分かったかを一緒に確かめます

その後、担当者は作業の範囲、提案してよいこと、変更前に確認することを説明します。安全や品質に関係する手順を、この例を理由に自由に変えてよいことにはしません。現場の基準に沿って、任せるという言葉の中身を具体化するのが対応です。

本人にも、会社が何を確認し、何を変えたかを返します。「現場には言っておきました」だけでは、次の作業でどう行動すればよいか分かりません。説明を聞いた本人が、確認する場面を自分の言葉で説明できるかまで一緒に確かめます。

7. 次の面談では、実施したかと役立ったかを分ける

確認用の紙を作ったことと、困った場面で使えたことは別です。次に話すときは、まず前回の対応が実施されたかを確認し、そのあと実際の仕事でどう使われたかを聞きます。未実施なら、本人の変化を評価する前に、会社側で止まっている工程を扱います。

確認すること問いかけの例
実施の確認予定していた説明を、担当者と一緒に確認できましたか
使えた場面前に迷った準備で、今回はどこを自分で進められましたか
残った困りごと別の場面では、まだ判断しにくいところがありますか
周囲への影響確認のために待つ時間や、担当者の負担は増えていませんか

「もう問題ないですね」と結論を先に置かず、役立ったことと残ったことの両方を聞きます。本人が作業を覚えた場合も、指導役が後から手直しを続けているなら別の課題が残っています。本人と教える側の話を分けて確かめ、片方の返事だけで完了にしません。

改善したように見えても、一度の会話で定着への効果を断定しません。今回は確認の基準が伝わった、予定した説明はまだ実施できていない、という観察できた範囲を残します。次に何を見るかが決まれば、面談は実務の振り返りとして働きます。

予定していた確認日に話せなかった場合も、そのまま記録を閉じないようにします。代わりに話す人や次の機会を決め、急いで対応する必要があることは先に扱います。日程が延期されたことを、問題がなくなったことと混同しません。

8. 面談の記録は、次の対応が分かる大きさで残す

長い議事録がなくても、困った場面、確かめたこと、次の対応、担当、再確認の予定があれば引き継げます。本人の私生活の詳細を必要以上に書き足さず、仕事上の支援に必要な範囲を考えます。本人の言葉を引用する場合は、意味が変わらないよう確認します。

記録欄記入例
今回確かめた場面準備作業の順番を変更してよいか迷った
会社がすること担当者が作業と判断の範囲を説明する
本人と確かめること次の準備で、相談する場面が分かるか
担当・回答予定現場担当が説明、聞き手が本人へ結果を確認
残る事項別の作業の判断範囲は未確認

面談の個別記録と、次の新人にも使う説明資料は分けます。今回分かった「任せる範囲を明記した方がよい」という改善は共通資料へ戻せますが、誰がどんな不安を話したかまで全員へ知らせる必要はありません。

求人や面接の説明に曖昧さが見つかったら、その文章を担当者へ戻します。「自分のペースで進められる」「慣れたら任せる」といった言葉が、どの作業と判断を指すのかを確かめます。新人への支援を直すことが、次の採用での説明を具体的にする材料にもなります。

参考:テイク採用研究所『現場の採用は、「誰でもいい」では誰も来ない』制作原稿 第8章 採用は、入社後90日まで続く,付録8 入社初日と90日までの確認表をもとに、記事として再構成しています。

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